様々な工程を経てひとつの製品へ 。封筒型長財布 Encaseの製作②
Munekawaでは、ひとつの製品が完成するまでに様々な工程を経ています。
裁断、漉き、貼り合わせ、中には薄くしつつ強度を高めるために芯材をいれる工程もあります。
今回はその中で封筒型長財布 Encase のカードホルダー部分のヘリ漉き工程のご紹介です。
そもそも「漉き」って何?と思われる方もおられると思いますが、私もこの業界に入るまで「漉き」という漢字すら使ったことがありませんでした。
簡単にいうと「スライス」するという工程です。
面で革をスライスしたり、パーツの端から6mm幅だけを0.5mmの厚みにスライスしようというような工程です。
「漉き」=「スライス」です。
漉き方にも色々あります。
これを言葉で説明するには、無理があります。
大まかにいうと「面」と「斜め」と「段」の3種に分けることができ、今回の動画は、「斜め」漉きと「面」漉きのミックスです。
同時にどちらもできるように改造した器具を使って漉き作業を行っています。
この作業を行うことで、革のヘリ(端)を折り返すことができます。
この行程で、革が一番薄いところで約0.3mmぐらいになります。
この厚みが0.1mm違うと作業の行いやすさが変わってきます。
その部分を出来るだけ均一にするためには、漉き機の歯の研ぎ方がとても大切。
この研ぎ方に関しては、まず初めはスタッフに口で説明はしますが、最終的には、手の感覚なのでトライ&エラーで覚えていくしかありません。
ここでもうひとつ革ならではの難しい部分に直面します。
革は天然のものなので、毎回同じ条件で作業ができないことです。
硬い革もあれば、柔らかい革もある。
それらを漉きの作業で革の厚みで微調整して均一に近づけていきます。
(大げさになっているかもしれませんが、革製品を製作していく上で、革パーツひとつひとつに個性があるので、均一に近づけていくという感覚はとても大切です。)
この作業は、革製品を作る上では、縫製作業よりも花形の作業かもしれません。
この漉き繊細さが、製品仕上がりはもとより、革でできること幅を大きく広げてくれます。